アルトゥール・ショーペンハウエルは、ドイツの哲学者です。
『意志と表象としての世界』が著書としては有名です。
彼はキルケゴールと共に「実存主義」の走りとも言ってよい人で、仏教の虚無思想にかなりの影響を受けたようです。
その為、彼は非常にペシミスティック(悲観的)な仏教思想を用いて、幸福論を書いています。
これについてはショーペンハウエルの母親の影響も大きかったようです。
彼の母親は、自分のことを「天才だ」と思っているような人でしたが、ショーペンハウエルが「自分が天才だ」と言うので、「同じ時代に、同じ家に、天才が2人いてたまるか」と言うことで「天才は母親である私だから、お前が天才であるはずがない」と言われ、階段から突き落とされたそうです。
こうした不幸な出来事もあり、彼は虚無主義に陥ったとされるエピソードが残っているくらいです。
こうした家庭的な背景があって、仏教思想の影響をかなり受けたのでしょう。
ただ、仏教の持っている虚無主義的な部分、「ニヒリズム」的な部分に流れて行くところについては正確に捉えているように思えますが、「全体的な仏教思想を掴んでいる」とは言い難いのではないかと思われます。