中国の禅僧である百丈懐海和尚に、こんなお話しがあります。
百丈懐海和尚は、八十歳を超えた歳になっても、毎日鍬や鋤などの農作業の道具を持って、畑に出て行ったそうです。
それを心配した弟子たちは「老師は歳を取られたので、もうそんな事はしないでください!」と止めたのですが、一向に止めようとしません。
そこで弟子たちはある時、その農作業の道具を、すべて隠してしまったのです。
すると老師は、ご飯を食べなくなり、絶食に入ってしまいました。
困った弟子たちが「先生、ご飯を食べてください。」と懇願しても、和尚は「いや食べない!」と言うので、理由を伺うと「今日は何もしていないので、ご飯は食べられない。」と答えたと言います。
その時に言った言葉が「一日作(な)さざれば、一日喰らわず」という有名な言葉です。
これが「働かざる者、食うべからず」という言葉になったとされています。
高齢になったとしても「何もしなかった者、働かなかった者、この一日を無駄にした者は、食事をするに値しない。」と、和尚は自分で決めていたのでしょう。
ただただ役所からの恵みをアテにして、働かないで遊んでいる者、親や家族の脛をかじりながら一日を過ごしている者、色々な考え方やタイミングはあるかも知れませんが、美味しく食事を摂るには「今日はよく頑張ったな。これも天からの恵みだ。」と思って、食事を頂きたいものです。