私は5年ほど前に、ある方の生前葬に参列した事があります。その方は60歳の女性でしたが、癌を患い余命1年弱と宣告されておりました。その方が、どうして生前葬をやりたいと思ったのかは定かではありませんが、「とにかく生きている内に、お世話になった友人や知人に、感謝の気持ちを伝えておきたい」と思ったからだと仰っておりました。
その会は、ただただ涙の集いとなりました。感謝の言葉を伝えるご本人も、その言葉を受け取った方々も、会の間中ずっと号泣でした。会が終わった後、主催した女性の一言が今でも忘れられません。「私、心が軽くなった!もう思い残す事も無くなったから、今日から生まれ変わって、新しい人生を生きるわ!」と言ってニコニコしておりました。
そう言った彼女は、5年経った今でも元気にお孫さん達と暮しております。どうしてが延びたのか、その原因はお医者さんにも分かりませんでした。でも、彼女は自分の半生を振り返り「心のわだかまり」が無くなったので、癌が小さくなり寿命が延びたのかもしれません。ただ、その後は彼女は「目に見えない力」、神仏に対する信仰心が強くなったとお聞きしております。
「生前葬」は「今までの自分の人生を振り返り、新しい自分に生まれ変わる」と言う意味からしても、多くの方に是非体験して貰いたいと、心底から思いました。「生前葬」は、主催されたご本人も、招かれた方も、沢山の学びがあります。「自分が如何に多くの方達の優しさと愛情の中で生きてきたのか」「自分の人生は、奇跡の連続で成り立っているんだ」と気付けば、きっと最後の時を迎えたとしても、笑って逝くことが出来るのではないかと考えております。