このお話は私の友人の体験談です。
彼は(仮にSさんとしておきます)世界的にも名前が通っている大企業の役職に着いておりました。
ある時Sから電話がありました。
「数ヶ月前にやった検査で引っ掛かって、再検査したら癌が見つかったんだ。それも結構進行しているようで危ないかも…」と。
それからSは一生懸命、自分を救ってくれる医者を世界中で探しました。
「もうこうなったら仕事も金も地位も名誉も何もいらない。とにかく治して生きるんだ!」そんな事を私に言いながら必死に探した結果、米国で手術を受けることになり、無事成功しました。
今では仕事に復帰して現役でバリバリ働いております。
Sは「今だから言えるのだけれども・・・」と「自分が癌だとわかった時には他人事のように考えていた。多分自分じゃない。自分が癌になる筈がないと思っていた。でも現実は変わらなかった。」
「よく人が死んでいく時に走馬灯のように自分の人生を赤ん坊の時から振り返ると言うだろう。俺は癌であることを認めたその日に夢で見たんだ。」
「自分が両親の期待を背負って、この世に生まれてきたこと。同級生をイジメて来たことの報いで、自分もイジメられる側になったこと。勉強が出来ること、社会的地位が上がること、お金持ちになることが全てだと思って生きてきたこと。そして癌になって慌てふためいている自分を、第三者の目から見ることが出来た。陳腐な光景だったよ。真っ青な顔をして家族に怒鳴り散らしている姿は、阿修羅そのものだった…でも、救いの手が差し伸べられた時、あゝまだ生きて行けるんだ。皆んなに謝る事が出来るんだ。そう心の底から思えて神様に感謝した。」
彼は神も仏も信じない唯物主義者でしたが、病気からとても大切なメッセージを貰ったようです。