もう桜の季節は過ぎ、秋の紅葉へ移ろうとしていますが、まだまだ暫くは暑い日が続くようです。両花とも大好きな花なので、今回は「椿と桜」という題名をつけてみました。椿は散るときに、そのまま花がポトリと落ちるので「首が落ちるようで縁起が悪い」と言われております。そのせいか、映画や小説でも人の命が無くなるときに、椿の花が落ちる様を表現したりします。椿の花が散るときに花全体が落ちるのは、花弁と雄しべが一緒に落花するからで、この散り方が山茶花との違いになります。そうした椿の花を見ると「侍」「武士道」を感じてしまうのは私だけでしょうか。
かたや桜は風に舞い散るように散っていくので「桜吹雪」とも言われ、その散り際の美しさも古の昔から愛でられます。桜は多くの花が一気に咲き誇り、一斉に散っていくので「時のはかなさ」を感じてしまいます。しかし、桜の花が好き勝手にバラバラに咲き、何ヶ月間もダラダラと咲いていたらどうでしょう。見ごろの期間は長くなりますが、木々が桜色に染まるあの素晴らしく美しい光景は、まるで葉桜を見るようで半減するかもしれません。「桜はその時を知っているように一斉に咲くから美しい。」という感じは「人類の文明開化」の様なのかもしれません。多くの偉人賢人がある地域に同時期に一斉に現れ、文化文明を創っていく様に似ていないでしょうか。あるときはエジプト、ある時はギリシャ、ローマと言う感じで桜の木が満開になるように文明が開化していく。桜の花の一つ一つは小さくて儚い存在だけれど、多くの花々と一緒に咲くことで全体的な美を創り出す。まさに日本人的な美の象徴であるようです。