皆様も初詣や神社仏閣に参った時には、お願い事をしたりするかも知れません。
私は仕事柄「お願い事と祈りの違いは?」と訊かれたことが何度かありますが、一般的には違いが分かりにくいのかも知れませんね。
どちらも「願う」事に変わりはありませんが、基本的に神社仏閣で個人がする「お願い事」は、「自分自身や家族、縁者のことに関する願い」が多いように思われます。
しかしながら「お祈り」は、個人的な「お願い事」よりも「他人に対して、あるいは環境に対しての願い事」が多いようです。
例えば「願い事」ですと「今年も私が健康でありますように。家族がつつがなく過ごせますように。」という感じですが、「祈り」は「世界が平和が平和でありますように。天災が起きませんように。」という感じで、自分自身と縁者の為というよりは、もっと広い世界を対象にしている感じがします。
しかしながら、根本的な違いは「対象の大きさ」だけにあるのではありません。
本来の違いは、その「深さ」です。「重み」です。
ですから、例えば「自分の病気を治してください。」という切実な「願い」は、自分に対する願い事ですが、念いが集中した時には「祈り」に変わります。
「ああなったらいいな。」のような「願い」ではなく、「なってもらわなければ、いけない。いや、絶対にそうなる!」そんな強い気持ちが「祈り」にはあります。
従って、「祈り」が間違った方向に行くと「呪詛」にもなりえます。
それ故に怖いところもあり「両刃の剣」的な所もあるので、「祈りの作法」が日本には古来から存在します。
