「ベルリンの壁」と言っても、若い方は歴史的な出来事としか捉えられないかもしれません。
ベルリンの壁は、東西冷戦の象徴として知られていました。
壁が崩壊した翌年、東西ドイツは統一され、1991年にはソ連が崩壊して独立国家共同体が誕生しました。
1961年に建設され、1989年に崩壊したベルリンの壁は、一見すると平和の象徴の様に捉えられていますが、東ドイツに住んでいた人にとっては複雑だったようです。
東ドイツは西ドイツに比べると貧しい経済状況で暮らしも質素でした。
ところが壁の崩壊後、西ドイツ側からの豊かな物資と生活様式が流れ込み、元東ドイツの国民達は激しく翻弄されました。
「こんな便利なものがあったのか!」「この素敵な物が欲しい。」と欲は積もりますが、手元にお金がない…
元東ドイツのお年寄り達は「こんな事なら質素な暮らしの方が幸せだった。」と言うくらいに、欲しい物を手に入れる為に必死になって働く若者達を観て眉をひそめていたそうです。
「何をもって幸せとするか?」は人それぞれですが、少なくとも自分の欲が満たされることで訪れる幸せ感は、そう続かないようです。
人の欲望は止めどなく、手に入れたと思っても直ぐに他の欲が湧いて来てしまいますから。