「奈良の鹿が可愛い」と、外国の方々にも大人気ですが、何故鹿が境内に放たれているのかご存知の方は少ないようです。
これは、お釈迦様の初転法輪の逸話から来ていると言われております。
インドの山奥で、難行苦行しても悟れなかったお釈迦様は、山から降りてとある村で、痩せ衰えた身体を休めていました。
そこへスジャータと言う村娘が、お釈迦様にミルク粥を供養しました。
それにより「難行苦行の中には、悟りはない。」と言う事に、お釈迦様は気付き「苦楽中道の悟り」を得たという事になっています。
ただ、一緒に修行していた釈迦族からの従者達5人は、その姿を見て「堕落した」と言ってお釈迦様のもとから立ち去りました。
5人と別れた後、ミルク粥で生気が戻ったお釈迦様は、菩提樹の下で悟ったとされています。
その後、「梵天勧請」や「三止三請」があり、自分が悟ったことを人々に伝えようと、お釈迦様は腰を上げます。
その時に、従者5人の事が頭に浮かび、千里眼を使って彼らがいる場所を見つけました。
皆がいる場所が、鹿野苑(現在のサールナート)である事が分かりました。
この鹿野苑の地は「鹿の苑」と意訳されるように、沢山の鹿がいた場所とされていて、今その当時の謂れにちなんで、鹿が飼われているというわけです。
奈良公園は「鹿野苑」(サールナート)の再現をしたかったのかも知れませんね。