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一人の修行僧が師匠に「もうこれ以上、私はここでの修行に耐えられません。何処かもっと良い修行場に行かせて貰えませんか?」とお願いをしてきました。
師匠は「どうして、この修行場が嫌になったのか」彼に尋ねました。
彼は「ここの修行場の僧たちは、常日頃から他人の噂話や他の僧の悪口を言ったり、修行に関係ない話ばかりして、私の修行が進みません。」と訴えました。
師匠は「そうか、分かった。それではその願い事を聴く前に一つだけ試験をしようと思う。その試験が見事達成出来れば他の修行場に移動させてあげよう。」と言いました。
試験内容は、お寺の中を一周だけ、スプーンに入った水を一滴もこぼさず回り切ったら、合格と言う試験でした。
彼はその試験を見事合格しました。
すると師匠は「よくやり切った。ところで途中他人の噂話や悪口やくだらない話が聞こえてきたかな?」と彼に問い掛けました。
「いえ、私はスプーンの水をこぼさないように集中していましたので、他の人の声は耳に入りませんでした。」と彼は答えました。
「そうだろう。人は本当に大切な事に集中していれば、他の物事は気にならない。どんな事を言われても、どんなに周りが騒がしくても、自分が求めている事に突き進んでいれば気にならないものなんだよ。」
彼はハッと思い、そこでの修行を続けることを師匠に誓ったそうです。