前にも書きましたが、「念い」は「想い」よりも、「思い」よりも、現実的な力を持ちます。
松下幸之助翁が全国から集まった経営者における講演会を開催したときに、テーマは有名な「ダム経営について」でした。
その中の質疑応答の場面で、ある方が「ダム経営の素晴らしさは分かりましたが、一体どうすればダム経営を出来るのでしょうか?」と言う質問がされました。
この質問に対して松下さんは「さあ、それは分かりませんのですわ。ただ、まあ、ダム経営したいと念わなければ、そうなりませんなぁ。」と答えたそうです。
これに対して「天下の松下とあろう者が、その程度しか言えないのか」と大多数の人がガッカリしたらしいのです。
わざわざ講演会に来たのに「こうすれば良いのです!」と言う答えを期待していたのに「分からない。ただ念わなければ、そうならない。」と松下氏が答えたので会場がざわついたそうです。
しかし、その中には、その答えを聴いて「なるほど。」と思った人もいました。
それが京セラの稲盛和夫氏でした。
多くの人が「バカバカしい。方法は分からないが、念ったらなる、なんて話、聴いてられない。」と思ったのに、彼だけは同じ話を聞いて「これが全てだ。成功は念いから始まる。」という事を掴み取り、会社を発展させていきました。
「思い付かない事は実現できない」と言う当たり前なことの裏側に、先ずは思わなければ念いにならず、事はなされない、という事を多くの人は知らないで生きているという事です。