「絶体絶命の時に、退路を絶って戦いに臨む」これを『背水の陣』と言いますが、これは紀元前3世紀頃に中国・前漢初期に活躍した『韓信』が編み出した戦術と云われています。
韓信は相手が『孫子の兵法』を勉強している事を逆手に取り、「川を背にして陣を敷くと、敵に攻められたら全滅する」ということで、相手が油断して攻めてくるだろうから、その油断を突く戦いを行いました。
韓信は、自分の兵のうち2,000人を割いて、相手の後ろの方に回り込ませて、挟み撃ちにしました。
油断していた敵軍は慌てふためき、前後どっちと戦ったら良いのか、どっちに逃げて良いか分からなくなり全滅させられました。
『背水の陣』とは、相手の傲慢さを利用して勝つ方法だったのです。
「油断大敵」と言いますが、この戦いもやはり心理戦だったのです。
韓信は、宰相の蕭何や軍師の張良と共に「漢の三傑」とされています。
蕭何や張良も心理戦に優れ、漢を大国にして行きました。
戦いは武力も大切ですが、最期は心理戦がものを言うという事が、歴史上多かったと言えます。