冷暖自知

冷暖自知

人に物事を教えるのには、自分の時間も取られていたにも拘らず、教えたその人たちが、「何も身に付いていない」ことを知った時に、心の底からがっかりしてしまうことがあります。それ故に、永平寺の様な禅寺では、冷暖自知と言って「冷たいのか、暖かいのかは、自分自身で知りなさい!」と突き放して、教えることが多いと聞いています。要は「私の背中を見て覚えろ」と言うことなのでしょうが、教えて貰う側からすると「随分と不親切だな」と思ってしまいます。教育は現代社会や、どんな会社や組織でも重要視されてはいますが、確立された方法は現代でも見つかっていないと言えるの...
構造主義

構造主義

ベルギーの人類学者のレヴィ・ストロースは著者「野生の思考」の中で、「未開社会も西洋の発展した文化も、その本質においては何ら変わりない」と言うような事を言っておられます。つまり「自由な人間が主体的に行動することで、世界は変革できる」という「変革の設計図」で動いている西洋社会だけが、人間の社会ではなく、「自然のなかで自給自足をしている社会も文化文明といえるのではないか」と言う事を主張しています。確かに彼の言う「構造主義」は、人間の文化や社会現象の背後にある「普遍的な構造」を解明しようとする思想であるので、とても大切な事でしょう。また彼は、...
携挙

携挙

聖書にも書かれている終末論が、現代で成就されるのではないかと言う話題が、SNSでも賑やかになっています。そうした中で、携挙(けいきょ)は、「キリストが再臨する際に、信者が肉体そのまま、または復活の体を与えられて天に引き上げられる出来事」を意味します。「携挙によって地上からはクリスチャンが姿を消し、未信者だけが残される」と信じている方々が世界中に結構な人数いらっしゃいます。この出来事は、聖書の『1テサロニケ4章』などに言及されており、その基準は「キリストを信じているかどうかだ」とされています。こうした考え方は、古今東西、様々な宗教や団体...
長考に好手なし

長考に好手なし

「長考に好手なし」とは、将棋などの戦略ゲームにおいて、長い時間考え込んだ末に指した手は、良い手になりにくいという格言です。じっくり考え込んで行うことは、一考すると最善の手を探すために有効な手段のように思えますが、実際には迷いや焦りから、本来の力を発揮できなくなることが多いという経験則を表しています。また、こうしたことから「直感」で行動した方が良いのではないかと言う考え方も出てきます。危険に対して熟考していたのでは、命が幾つあっても足りません。それ故に、大脳基底核と言う運動制御、習慣形成、意思決定に関与している部分がフル稼働して、自分自...
信仰の本能

信仰の本能

経営の神様と言われた松下幸之助氏は、その著書のなかで「人間には、信仰の本能がある。」と述べています。彼の言う「信仰の本能」とは、一体どういう事を指すのでしょう。世界各地には、様々な民族が色々な歴史観、宗教を持ちながら生きています。その共通するところは「人間は生まれつき、何か偉大なるもの、いわゆるサムシング・グレートを信じる心を持っている。そう言う本能を持っている。」と言えるのではないかという考え方もあるのです。要するに、子供が親を信じ敬うように「自分の創り主、あるいは生みの親は誰であるか?」ということを求め、それに憧れる気持ちが人間の...